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イーハトーブ探訪記:谷口礼子 [『十二階のカムパネルラ』]

谷口です。『十二階のカムパネルラ』の稽古が始まって1週間。
出演してくださるメンバーの熱い熱い思いに稽古場も毎日熱いです。本当に一生懸命で真摯な方ばかり集まりました。感謝ばかりです。

さてさて今日私がおおくりするのは、稽古開始間近の9月下旬に、高橋茉琴ちゃん(まこちゃん)と一緒に、宮澤賢治さんゆかりの地・花巻に行ってきたお話です。
宮澤賢治さんは故郷の花巻を「イーハトーブ」と名づけて、理想郷と呼びました。
そんなイーハトーブの今をお伝えするレポートです!
それでは、いってみましょう!

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ほんとうはちょっと長めの旅がしたかったのですが、まこちゃんはその頃出演中の舞台で忙しく、なんとか二人の日程を合わせることができたのが1日半だけ。
なので、弾丸で花巻に旅立ちました。
二人とも、カメラ女子なので、まこちゃん発案でカメラをパシャリ。まこちゃんのセンスにはしびれますー。

まずは午後の新幹線で北上駅、そこから在来線に乗り継いで花巻駅まで。
花巻駅についたときにはもう18時。
バスで宿に向かいます。いわゆる、前乗りというやつですね。
しかしただの宿じゃつまらないので、緑川さんおすすめの、賢治さんゆかりの温泉を目指します。

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バスで、暗い道をずんずん進みます。
たどり着いたのはここ。

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暗い!もう夜。街灯もあまりないような山奥の宿にやってきました。
「鉛温泉 藤三旅館」。賢治さんも何度も訪れ、童話『なめとこ山の熊』にも出てくる温泉です。
泊まるのはこの旅館の「湯治部」。とても簡素で古い木造の建物にずらりと部屋が並びます。
お夕飯もつけてもらいました。 

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湯治で長期滞在することもできるとあって、炊事場がついていたり、トイレは共同でちょっと怖いのだけれど、それがまた風情がありました。
温泉は「白猿の湯」という、立って入る珍しいお風呂があって、名物です。
お湯が結構深くて、普通に立っただけで首近くまでお湯がきます。ドキドキ。
湯温も高めでのぼせそう。でも浮力がはたらくから身体にいいのかもしれません。

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お風呂あがり、まこちゃんはコーヒー牛乳。わたしはビール。
化粧をぜんぶ落としたので眉毛がありませんことをご了承ください。

翌朝も早起きして、今度は別のお湯に入りました。
鉛温泉には浴場が4つもあります。
もうひとつのお湯も気に入りました。こちらは川に面していて、露天風呂から絶え間なく流れ続ける川が見えます。なかなかの濁流で、川の音が心地よい。草の匂いや虫の声もとてもいい感じです。
自然の中のお風呂って本当に気持ちいいですね。

朝は早めに出発。
バスで駅まで出ました。前日花巻駅で手に入れておいたバスの一日乗車券を使います。
岩手県交通のバスが一日乗り降り放題で1000円。
宿から駅までで730円だから、すぐにもとが取れます!
旅取材で鍛えた腕です(笑)

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花巻駅でバスを乗り継いで、宮沢賢治記念館のバス停まで。

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賢治記念館には私の好きな童話『猫の事務所』の猫がいました!

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イーハトーブ館には賢治さんのシルエット!

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緑川さんおすすめの賢治童話村で、「賢治の教室」という建物を見学。

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童話の世界を、光や色や映像で体感できるようにしてあって、五感が刺激されます。
星の世界、水の中の世界、空の上の世界、虫の目線、などなど。
確かにこういう世界、童話の中でありました。でも、それを体験できるなんて。
考えた方すごいなあ。とても美しい世界でした。

戻りのバスで途中下車して向かったのは、「イギリス海岸」。
見た目はなんの変哲もない北上川の川べりなのですが、賢治さんの頃はもっと川の水量が少なくて、川底が見えていたのだそうです。川底からは古代の化石が出てきたのだそう。
それでここを気に入っていた賢治さんは「イギリス海岸」と名付けたのだとか。

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川を見ていると地元のおじさんが登場。「賢治さんのこと勉強しに来たの?」とおもむろに持っていた肥料の袋からゴソゴソと取り出したのは、なんと賢治さん関連の観光パンフレット。私たちにくださいました。
さらに、お持ちになったタッパーの中には川底から出てきたというオニグルミの化石が入っていて、それを見せて解説してくださいました。

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賢治さんは本当に地元に愛されているんですね。
おじさんは賢治さんのことを知りたい方にたくさん話をして聞かせているのだそうです。

イギリス海岸からはタクシーで花巻農業高校まで。
ここに賢治が農村生活を送る拠点となった「羅須地人協会」の建物がそのまま残っています。
本当は別の場所にあったのを、保存のために移築したのだそうですが、
賢治さんも教えていた農業高校(当時は農学校)で保存されているなんて、縁が深くて素敵です。

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思ったより華奢な建物でびっくりしました。雪が降ったらとても寒そう。
建物の前では高校生が太鼓を抱えて地元の民俗芸能「鹿踊り(ししおどり)」の練習をしていました。賢治さんの詩でも、鹿踊り、出てくるなあとちょっと感動しました。

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有名な「下ノ畑に居リマス」の看板です。
羅須地人教会の建物には入ることができます。

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寝起きしていた畳の間の他に、音楽や演劇をやったり、農業の授業をしたという板の間もありました。
木のぬくもりがあふれる、温かい空間です。

農業高校の最寄駅・花巻空港駅のほうに向かっていくとタクシー会社さんがあったので、そこからまたタクシーをお願いして、花巻市街まで送ってもらいました。
時刻はお昼どき。昼ごはんを、これまた緑川さんおすすめの「マルカンデパート」の「マルカン大食堂」でいただきます。
デパート自体は一度廃業したのですが、その中で人気のあった食堂を、当時働いていた方を呼び戻して復活させたところ、とても話題になってお客さんが溢れているという、まちおこしの見本のような食堂です。

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昭和レトロ感!
設備も当時のものそのままだそうです。
だだっ広い空間にテーブルが並べられているこの感じ、懐かしいと思うわたしはギリギリ昭和の子です。

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名物と言われるナポリかつ(780円)を頼みました。ナポリタンにチキンカツがのっていて、この大きさです。ナポリタンはどう見ても大盛りです。大きさに唖然とするまこちゃんの顔!!

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もう一品も名物。マルカンラーメン(630円)です。スープに少しとろみがついていて、ピリ辛で、アツアツだけどすごく美味しい!!クセになる味です。

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量が多かったけれど美味しかったので二人で完食。
デザートに、ソフトクリーム(180円)。

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いやいや、この高さ!
これ、ごく普通のソフトクリームの機械で作っているそうですが、とても上手な方がこの高さまで巻き上げるんだそうです。誰でもできるわけじゃないそうですよ!

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ソフトクリームの食べ方は「割り箸で」というのが花巻っ子の常識だそうです。
崩れやすいのでお箸で上からそうっとクリームを取って食べるわけです。
感想:割り箸って食べやすい!
まこちゃんも私も、今後はソフトクリームは大きさにかかわらずお箸で食べればいいんじゃないかという結論に達しました。

お腹がいっぱいになって、またバスを使いました。
「賢治詩碑前」というバス停から少し歩きます。さきほど見た羅須地人協会の建物が実際にたっていたところに、今は賢治さんの詩碑が建っているのだそうです。
道すがら、不思議な生き物を発見するまこちゃん。

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突っ込みどころがありすぎます。
何の動物でしょう???(笑)

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賢治さんの詩碑が立っている、羅須地人協会の跡地は、少し高台にあります。
空気がしんと静まり返っていました。
高台からは野と川と畑の景色が見えます。

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「下ノ畑」もこういう景色の中にあったのでしょう。

しばらく歩き、市内を循環するコミュニティバス「ふくろう号」に乗りました。
このバスだけ、一日乗車券が使えないので、100円現金で支払います。

ふくろう号で「文化会館前」まで。
近くに賢治さんのお墓のある「身照寺」があります。
お参りした空。

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賢治さんが勤めていた頃の花巻農学校はお寺のすぐ近くにあったといい、今はその跡地が公園と文化会館になっています。公園には賢治さんの作品をモチーフにしたモニュメントがありました。

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ボケる二人。

ちょっと疲れて近くの喫茶店「ポパイ」でお茶をして、歩き出したその時、車に乗ったおじさんからまたも話しかけられました。「賢治さんのゆかりの場所、巡ってるの?」
花巻の方、親切すぎ!
この方は元・県庁の職員さんだそうで、宮澤賢治さんにとても詳しく、「時間があるなら案内してあげる」と車に乗せてくれました。
まずはほとんど目印というものもない交差点で、賢治さんの有名な写真が撮られたのはここ、と教えてくださいました。

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この写真のこの向きで撮られたそう。
今は道路も舗装され、周囲には住宅が立ち並んで、全く面影がありません。
ここが農学校の水田だったそうです。
ちなみにこの有名な賢治さんの写真は、何かを思い悩んで歩いているかのように見えますが、実際は「ベートーベンのモノマネをしているところ」なんだそうです。
賢治さんは病弱ですこし悲壮なイメージがありますけれど、意外にお茶目で楽しいことが大好きな人だったのです。

その後、賢治さんの生家であるお母さんの実家・宮沢商店に連れて行っていただくと、たまたま事務員さんが出てこられて、賢治さんが産湯を使った井戸の井戸水を汲ませてくれました。
井戸のつるべを使ったのは生まれて初めてだったのですごく興奮!
思ったよりかなり力が要ることがわかりました。
これが、汲んだお水。空や木が映ってなにか意味ありげです。

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賢治さんの童話の中にも出てくる電車が保存されている公園にも連れて行ってくださいました。

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細い!今では日本全国どこを見ても走っていないタイプの車両です。
すごいすごい!

そして、親切で分かりやすいご説明の最後、私たちの目的地、「ブッシュ」で下ろしてくださいました。
ブッシュは「やぶ屋」というお蕎麦屋さんで、賢治さんがよく生徒さんにここでおそばをご馳走したのだとか。賢治さんスタイルで言うと、「天ぷらそばとサイダー」がいつものコース。
今では「賢治セット」という名前で注文ができます。

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二人で、今日一日の打ち上げです。もちろんサイダーで乾杯!

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やぶ屋さんからは歩いて花巻駅に帰ることができました。
すっかり日が暮れて、駅がぼうっと幻想的に光っています。

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駅をカメラに収めるまこちゃん。

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花巻駅からは在来線で新花巻に出て、また新幹線で上野まで帰りました。

新幹線の中でリーフレットと一緒に。

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『十二階のカムパネルラ』でどんな風にどこまで宮澤賢治さんのことが出てくるかにかかわらず。本当に実在した方がいる限り、その場所を肌で感じるのはとても大事なことだと、これまでの経験上思っています。長宗我部元親さんも、島津の皆さんも、宇喜多秀家さんも、そうでした。
作品にどんなふうに生きてくるのかはこれからですが、きっと何かいい影響を与えることができるはずです。

花巻は、小さくて優しくて自然に溢れたまちでした。
優しい人がたくさん。奇跡のような出会いもあって、まこちゃんも大感動でした。
花巻の皆さん、ありがとうございました。
皆さんも、もし機会があれば是非訪れてみてくださいね。

というわけで、わたしたちは、心を込めて作品作りをしたいと思います。
『十二階のカムパネルラ』でお待ちしております!
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